少年王者舘『それいゆ』



アフタートークには、長塚圭史さんがゲストでした。

「長いまばたきをしていたような。」

まさに、と、1番しっくり、
観終えた直後にボウっとした頭に、胸に、きた。

長い夢ではなく。
夢でも幻想でもない、と、何度も何度も何度も引き戻された。
何度も何度も何度も、また引きずり込まれた。
いや、自ら引きずり込まれに行ってはいたけれど。


グルグルと回り回る日本語の羅列が、あんなにも気持ちがいいなんて。

ほんの数行、ちゃぶ台を挟んで会話を重ねれば、
たちまち1年が経つ空間。
めちゃくちゃ好きな瞬間だった。

言葉にしたい言葉たちが溢れすぎていて覚えきれない。
言葉遊びが過ぎますよ。たまりません。


目の前の人たち、
人間たちの目が揃った時、
信じられない光景になった。

激しくてエネルギーが劇場を吹っ飛ばす勢いがあって。
でもそれには、想像を絶するような緻密なやり取りがあって成り立っていると…
一瞬の隙の無さが、あまりに魅力的だった。

背もたれも無いもんですから、
膝には前の人の背中が当たり、左右は数センチも空いて無くて、油断すれば背中に後ろの人の膝。
ミチミチの空間は、スズナリになんて似合うのでしょうね。

新部聖子さん、
『田園に死す』に引き続き目を奪われっぱなしだったなぁ。
黒髪のおかっぱを誰よりも振り乱して。
独特のカラリとした声がいつまでも遠くに届いて。


天野天街さんが放出するエネルギーはどこからやってくるものなんだ。
どうして継続してこられたんだ。
年齢なんて関係ない、
というのは綺麗事、
かと思ったけど、そうじゃ無かった。
マジだった。

同じ世界線に生きてて良かった。
多分、自分が演者ならあの世界に生きたかった、と思うべきなのかもしれないけど。
目の当たりにして良かった、
観劇できて良かった、
と1番に思った。




唐十郎さんの訃報に続いてのショックな出来事でした。
でも、今は今で素敵な世界をつくり続けている人がいる。
私もまだまだ、足を突っ込んでいきたいし。
半身、全身、浸かりたい。

それには元気がなくては。

「元気があればなんでもできる」

って、なかなか凄い言葉じゃないか。
今更めちゃくそに痛感しているぜ。

元気がなければ金髪にすることも出来なかっただろうに。


大厄の年、月に一度のペースで私の周りから色んな人が旅立っていった。
冗談抜きで。
辛かった、なんてもんじゃなかった。
落ち込むし、次も誰かがいなくなっちゃうのかと怯えてたし、引っ張られそうにもなった。

でも、連絡を取っていた人たち、
近くにいてくれた人たち、
ゲーム、映画、音楽、演劇、
色んな物語が誤魔化してくれた。


なんか色々と思い出した。

とりあえず、私は元気でいよう。


ぐるぐるぐるぐる、
終わらないかもしれない時間って、超絶贅沢だった。



観に行けたご縁に、心から感謝いたします。

梨の日

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