さんらん『シャーピン』
さんらん
『シャーピン』
作演出:尾崎太郎
出演:亀井奈緒(studio ALMA)、永野和宏(劇団新人会)、渡辺恒(さんらん)
せんがわ劇場演劇コンクールの参加の、さんらん公演へ。
久々のせんがわ劇場ー!
参加団体は全て上演時間40分。
さんらん『シャーピン』は満席だった。
中国のおやき、シャーピンを、テキ屋の夫婦ともう1人が久しぶりに三社祭で売るぞ!
と意気込むも、シャーピンだけはダメだと、お達しが。
理由は、チュウゴクだから。
差別的なことの問題は、押し問答の中でまざまざと観せられる。
ここ近年、自由に挙がる様々な声を簡単に聞くことが可能になった。
でも黙ることも多くなった。かな。
表立って出さない話題。
でも、ご近所さんと、とか、家族の会話で、ふと出るような濃淡のある会話が、いつしか自分と世間の温度差を感じるみたいに迫ってた。
でもそこはさんらんの太郎さんの演出。
暗く重たくならず、ちょっと最近気になっててさ、という親近感と温かみを忘れない。
沢山の可笑しみを含んで、たくさん笑った。
やりとりが可愛らしくて、おかしいんだもの。笑)
台本でいう最後のページになっても、私たち観客は気付かなかった。
そんな空気と幕引きだった。
のめり込んで、3人の会話を聞き入っていたから。
プライドもある。
欲求も、叶えたいものも。
でも妥協も必要で。
消去法で1番を決めないとならないけれど、譲れないものは果たしてドッチだったのだろう。
現実と理想。
大きく考えたら、そういった枠がみえてくるのかもしれない。
個人的な感想だから、素っ頓狂な答えだろうけど。
でも、政治が国が、の前にある“生活”が、より濃く印象に残ったの。
たった40分弱。
夫婦の割れた答えは、どうやって1つにしたのだろう。
どちらかが折れるまで続くだろうし、
あの夫婦なら折れるという選択ではなく、すり合わせられるかな。
社会を窓口にして、より近い社会を観た気がする。
帰り道では、母親世代の女性2人が『シャーピン』について語ってた。
重たい雰囲気ではなかったけれど、共感と同感が入り混じったような会話。
そんな帰りも含めて、観に行けて良かった。
コンクールなので受賞がついてくるけれど、これからもこの素敵な団体の生み出す作品を観てゆきたいな。
【さんらん】の、ぎゅっとした会話劇、やっぱりとても好きだった。
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2023.05.22 20:16