映画『君は永遠にそいつらより若い』
映画『君は永遠にそいつらより若い』
監督:吉野竜平
出演:佐久間由衣/奈緒/
小日向星一/笠松将/
葵揚/森田想/
宇野祥平/
馬渕英里何/
坂田聡
今年は邦画が豊作、という噂と実感を持ちつつ、その話題からわりと出現率の高い今作。
気になってて、やっと観に行けた。
映画は、メルマガもあるしいっぱい観てる。
けど中々ここに最近は書けなくて。
でも今作はちょっと、自分の中で溢れた言葉たちを残しておきたかったから。
主人公の堀貝は、まるで私だった。
いや、違うんだけどさ。
ちょっと戸惑ってしまった。笑)
真剣に取り合うより笑いが出てしまって、はぐらかさないと面倒なのを知ってて笑って茶化して。
でも私はそれで無理してるってことはあんまりなくて。
彼女は感想や思ったことを口に出す時、
「とっ散らかったことしか言えないんです」
と、文脈があっちこっちいってしまったり、まとまらない。
私も、口に出すととっ散らかってしまって上手に伝えられない。
彼女は、子供の時のとある体験から、物事に対して最初から諦めてしまう性分になってしまった。
大きく期待して生きてると毎度のオーディションとか(特に今年はたくさん受けた分)本当にしんどいし、わかる…と思わず共感してしまったり。
そして何より、自分があまりにも何も貢献できないちっぽけな存在だと思ってしまう壁、という時期。
でも決定的に違うのは、彼女と私の年齢。
大学も最後の時期にいる彼女。
大学生の生活そのものが中々にリアルで。笑)
ぶつかって挫けていく様も、高校生にはない“あるある”が、妙にハマって面白くて懐かしくって。
そんな中で、色んな出来事がアレコレと起きてゆく。
1人の生活の中で、規模はとっても小さな出来事、経験だけど。
1つ1つが、紙で切った傷みたいに、確実に痕を残していって。
理解できてしまうと途端に苦しい。笑)
でもそれらの色んな出来事のアレコレが、全部掬い取られて繋がっていく驚きと気持ちよさがあった。
でも、
今作と、この題名がわかった時、明日生きるのがとても楽になった気がした。
若気の至り、ってやつが、とっ散らかって登場してくる。
それは尾崎豊みたいなドラマチックなものではなくて。
今の自分を創ってくれた、あの頃の出会いや別れ、思い出たち。
その“あの頃”が、グッと迫ってきたんだ。
「若い気持ちを取り戻したい」って年上の方たちは、尾崎豊じゃなくてこれを観るといいんだと思う。
本当の若気の至りって、こっちだと思った。
堀貝さんの通ってきた経験が、19、20歳で誰もが通ったわけじゃないけれど。
高校生ではなく、大人の1歩を踏み出さなくてはならない時期の、大切な時間が詰まっていたから。
ただ残念だったのは、恐らく監督はゲームをやらない人だったのかしら…?
気になって仕方なかったけど、ズルくて憧れる部屋と、主演2人の関係が上回ってくれた。
人は見かけによらず、それぞれの事情に、わだかまりをもっている者。
それを改めて教えてくれたし、知った堀貝さんはきっとこの先も大丈夫だと思えた。
同級生のよっしー(とっしー?)は、なんていい奴なんだ。
でも私は20代後半で、彼と同じ自分勝手な過ちをしてしまったから正直途中から彼を見るのが辛かった。
でも、彼の素直さに救われた。
若いって、イイ。良かったぁ。
今の自分があるのは、過去のなんたるかのせいでもあり、おかげでもあり。
とっ散らかった素敵な出来事たちが、不思議と1本に集約されていく魅力。
受け入れてくれる人に出会えたこと、
きっとこの先にそれ以上も以下もいないかもしれないよね。
本当に素敵な抱擁のシーンだったなぁ。
老害とかモラハラとか、人生の先輩にぶつかって心が折れそうな時、今の若いと言われる人たちにこの映画を観て、思い出して欲しいな、
なーんて勝手に知らない若い子たちのお節介を1人心の中でしてるのでした。笑)
確かに20代の子に向けられた映画だと思うけど。
私も、この映画に救われて、この先も思い出して進める時があると思う。
出会えて良かった映画でした。
テアトル新宿がなんと似合うことでしょう。
しかし京王線沿いの映画は、Switchで遊ぶ子達と天竺鼠が好きなのかしらねぇ。笑)
1コメント
2021.10.08 21:43