映画『望み』
映画『望み』
監督:堤幸彦監督
出演:堤真一/石田ゆり子/岡田健史/清原果那/
三浦貴大/
早織/西尾まり/平林テツ/
渡辺哲/加藤雅也/
市毛良枝/
松田翔太/
竜雷太
原作未読。
私がファンである、脚本家 奥寺佐渡子さんが今作の脚本を担っていました。
昔は気付きませんでしたが、子供の頃から大好きだった映画『学校の怪談』シリーズ。
特に好きな、『学校の怪談』、2、4の脚本を担当されたのが、奥寺さんでした。
そして更には、細田守監督作品『時をかける少女』『サマーウォーズ』や、細田監督と共同脚本で『おおかみこどもの雨と雪』も。
大人になってから知り、『コーヒーが冷めないうちに』も即足を運びました。
好きな作品、大ヒット作品に関わる大ベテラン。
少し不思議のSF物語りがお得意なのかしらと勝手に思ってましたが、今作『望み』も、奥寺さんということで映画館へ。
今作と似てるジャンルとして
『許された子どもたち』が今年公開されて観に行き、度肝を抜かれた。
家族×犯罪。
それも未成年少年。
行方不明になった息子は、果たして事件に巻き込まれ、“加害者”なのか“被害者“なのかが見えないサスペンスにもなっている。
どちらか、なのだけど。
どちらにしても、辛い結末が待っている。
”加害者“ならば、息子は犯罪者として罪を罰せられ、家族は今まで通りの生活は出来ないであろうこと。
”被害者“ならば、既に命を落としているかもしれない。。
家族それぞれの”望み“は、いっけん同じようで微妙にズレてすれ違う。
今作で第二の主役ともいえる、スタイリッシュな素敵な家。
裕福さ、余裕さが充満していた家は、いつしか残った家族の”望み“がぶつかり合う場へと化す。
展開の化け具合、演出は凄かった…。
当然、生きてて欲しい
その中にある本音は、だれも、どの”望み“も真っ当だったし、どちらにも頷いてしまう。
母なる望みと父との違いは、若干、特に”母親像“はベタなものだったけど、いや実際その方向になるんだろうな。
結末は、2通りの結果しかないし想像が出来ていたはずなのに、あまりにも哀しくてやるせなかった。
小道具が出るタイミング、希望の瞬間が、なんと絶妙だったことか。
ナイフのシーンは1番ドラマティック性があった気がする。
堤真一さん決意した表情や崩れた顔が離れない。
俳優陣は最後の最後まで、誰もが素敵だった。
光の演出も、分かりやすくも映画的に使われている。
光が差す瞬間。
家の光、暗さ。
鏡の中の自分達が今と逆になっていく予兆として映される不穏さ。
さりげなく画に込めた意味合いが細やか、かつ、ちりばめられていて、きちんと活きていた。
そういうの、好きなの。
問題に行き着くまでのテンポや、人物の登場のさせ方、ヒントのタイミングは飽きさせずに見入らせてくれました。
全部を言葉で回収してしまうよりは、他の手法を観たかったけれど。
最後のエピローグには、救われた。
なんて、なんという、親孝行なのだろう。
こんな親孝行、みたことないよ。
悲しいけれど、なんだか新鮮にも感じられた。
監督、脚本、俳優、衣装、小道具、セット、照明に音楽…
どこも張り詰めた緊張感が、末端にまで行き届いていたように感じる作品。
決して派手な映画ではないけれど、観に行けて良かったです。
この家族の共演を目に出来るだけで観に来た価値があるくらい。
公開したてなので、是非映画館で。
1コメント
2020.10.15 21:06